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2月
17
DIARY

あの感動を

皆様、こんにちは!
本日はSL Nishizawaがお送りいたします。

気温の変化が激しく、体調を崩しやすいシーズンですが年度末、体調を崩さないようお気を付けください。
本日は、イタリア・ミラノで行われている冬季オリンピックにまつわるエピソードをお話しできればを思います。

今回、ご紹介するのは2018年平昌大会に出場したショーン・ホワイト選手です。
ショーン・ホワイトという名は、常に「最強」の代名詞でした。しかし、平昌大会を数ヶ月後に控えた2017年10月、ニュージーランドでの練習中に悲劇が襲います。ハーフパイプの縁に激突し、顔面に大怪我を負ったのです。62針も縫う手術を受け、肺にも損傷を負ったその姿は、誰もが「ショーンの時代は終わった」と確信するほど凄惨なものでした。かつてない恐怖心が彼を支配し、一時は雪の上に立つことさえ躊躇したといいます。しかし、彼は逃げませんでした。鏡に映る自分の傷跡を見つめながら、彼は自分自身に問いかけました。まだ燃え尽きていない情熱が、そこには確かに残っていたのです。

迎えた平昌オリンピックの決勝。そこには、若き天才・平野歩夢選手が立ちはだかっていました。平野選手は人類史上最高難度の連続技を成功させ、異次元のスコアを叩き出します。ショーンは2回目の試技を終えた時点で暫定2位。追い詰められた状況で、彼に残されたチャンスは最終滑走の3回目、たった一度きりでした。会場を埋め尽くす観客、そして世界中の視聴者が息を呑んで見守る中、ショーンはスタート台に立ちました。もし失敗すれば、王者のプライドは完全に崩れ去る。成功しても、平野選手の完璧なスコアを上回れる保証はない。極限のプレッシャーが、ハーフパイプの底に張り詰めていました。



スタートを切ったショーンの滑りは、鬼気迫るものでした。怪我の原因となった技をあえて組み込み、これまでのキャリアで培った全ての技術とプライドを板に乗せます。高く、美しく、そして誰よりも力強く宙を舞う姿は、まさに王者の帰還でした。最後の着氷を決めた瞬間、彼は感情を爆発させ、スノーボードを放り投げました。スコアは「98.25」。大逆転の金メダルが決まった瞬間、ショーンはその場に崩れ落ち、子供のように泣きじゃくりました。それは、勝利の喜び以上に、自分の中にある恐怖に打ち勝った安堵と、極限から解放された魂の叫びだったのかもしれません。



表彰台の真ん中で掲げられた金メダル。それは単なる記録の証ではなく、彼が乗り越えてきた「絶望の深さ」を証明するものでした。30歳を超え、肉体的にも精神的にも限界が囁かれる中で、彼は自分を信じ抜くことの難しさと尊さを世界に示してくれました。ショーン・ホワイトのエピソードがこれほどまでに愛されるのは、彼がただ強いからではなく、誰よりも傷つき、迷い、それでもなお一歩前へ踏み出す勇気を持っていたからでしょう。彼の伝説は、何かに挑戦し、壁にぶつかっている全ての人にとって、暗闇を照らす一筋の光のような存在であり続けています。

2026-02-17DIARY